エンジニアリングの世界では、ラッチはドアやキャビネット、その他様々な用途の固定に重要な役割を果たしています。さまざまなタイプのラッチとその具体的な用途を理解することで、設計の安全性と機能性を大幅に高めることができます。この包括的なガイドでは、ラッチの種類、保護等級、表面仕上げ、認証などを網羅し、ラッチについて知っておくべきことをすべて掘り下げます。

ラッチのさまざまな側面について、さらに詳しく調べてみよう。

ラッチとは？

ラッチは、物体を保持または固定するための機械的装置である。一般的に、キャッチまたはキーパーと係合する可動部分から成り、対象物を所定の位置に固定します。ラッチは、その信頼性と使いやすさから、自動車から航空宇宙まで、さまざまな産業で広く使用されています。制御された動きと確実な締結が要求されるシステムの基本部品です。

ラッチの機能

ラッチは、エンジニアリングと設計においていくつかの重要な機能を果たします：

• ドアとパネルの固定： ラッチは一般的に、ドアやパネルを閉じた状態に保ち、不正アクセスや偶発的な開錠を防ぐために使用される。
• 安全の提供： 多くの用途で、ラッチはセーフティクリティカルな部品を確実に固定し、事故のリスクを低減します。
• アクセスを容易にする： ラッチはまた、密閉されたエリアへの容易かつ迅速なアクセスを可能にすることができ、これはメンテナンスや修理作業において不可欠である。
• 美学を高める： ラッチの中には、美観を重視し、製品全体のデザインを引き立てるように設計されているものもあります。

ラッチの種類

ラッチの使用は、門やドアを固定するために単純な機械装置が使用されていた古代にまでさかのぼります。何世紀にもわたり、ラッチの設計と複雑さは進化し、今日私たちが使用する洗練された高度に専門化された装置に至っています。現代のラッチは、特定の業界標準と要件を満たすために、高度な材料と製造技術を用いて設計されています。

カムラッチ

カムラッチは、回転するカムを使用して物体を固定するシンプルで費用対効果の高い装置です。カムは通常、平らなまたは円筒形の部品で、ハンドルを回すと回転し、キャッチやキーパーに出入りします。

アプリケーション

素早くアクセスする必要のあるエンクロージャー、キャビネット、パネルによく使用される。例えば、電気エンクロージャー、HVACユニット、産業機械パネルなどです。

メリット

• 設置も操作も簡単。
• 多くの用途に対応する費用対効果の高いソリューション。
• さまざまなニーズに合わせて、さまざまなサイズと素材をご用意しています。

コンプレッションラッチ

コンプレッションラッチは、閉じたときにガスケットやシールを圧縮することで密閉を実現します。安全な閉鎖と環境シールの両方を提供するよう設計されており、過酷な環境や屋外環境では不可欠です。

アプリケーション

屋外用エンクロージャー、HVACシステム、船舶用機器など、防水性や防塵性が求められる用途に最適。

メリット

• 丈夫で振動に強いクロージャーを提供。
• ホコリや湿気、その他の汚染物質をシャットアウトするのに優れています。
• 環境保護が重要な用途によく使用される。

アプリケーション

自動車のドア、機械のカバー、機器のエンクロージャーなど、頻繁にアクセスが必要な自動車や産業用途でよく使用される。

メリット

• 便利で素早く使える。
• 高周波用途に適している。
• ラッチが自動的にかみ合うため、正確な位置合わせの必要性が減少。

プッシュ・トゥ・クローズ／スラム・ラッチ

プッシュ・トゥ・クローズ（スラムラッチ）は、ドアやパネルを押すだけで簡単に閉めることができます。ラッチ機構は自動的に係合し、ハンドルや追加操作なしでドアを固定します。

アプリケーション

自動車のドア、機械のカバー、機器のエンクロージャーなど、頻繁にアクセスが必要な自動車や産業用途でよく使用される。

メリット

• 便利で素早く使える。
• 高周波用途に適している。
• ラッチが自動的にかみ合うため、正確な位置合わせの必要性が減少。

スライディングラッチ

スライディングラッチは、スライド機構を使って対象物を固定します。ラッチはキーパーやストライクにスライドし、対象物を所定の位置にロックします。

アプリケーション

一般的にドア、ゲート、窓に使用され、シンプルで効果的なロックソリューションを提供する。また、家具やキャビネット、ある種の機械にもよく使われている。

メリット

• シンプルで信頼性の高いメカニズム。
• 設置も操作も簡単。
• 用途に合わせて様々なデザインをご用意

屋内・屋外用ラッチ

ラッチは、特定の環境条件に耐えられるよう素材や仕上げを調整し、屋内または屋外での使用に特化して設計することができます。屋内用ラッチは美観と使いやすさを優先し、屋外用ラッチは耐久性と要素への耐性を重視します。

右開きまたは左開きのラッチ

これらのラッチは、右利きまたは左利きの操作に対応するよう設計されており、さまざまな用途で柔軟性を提供します。ユーザーの好みや特定の設置要件に合わせて向きを変えることができます。ユーザーの利便性とアクセシビリティのために開く方向が不可欠なドア、キャビネット、エンクロージャでは一般的です。

見えるまたは見えないラッチ

可視ラッチは、ラッチ機構が露出しているため、アクセスや操作が容易です。隠しラッチは、ラッチ機構をドアまたはパネル構造内に隠すことで、よりすっきりとした美的外観を提供します。

メカニカルラッチまたはマグネットラッチ

メカニカルラッチは、可動部品と物理的な係合に依存し、物体を固定するために物理的な部品を使用します。磁気ラッチは磁力を利用して物体を固定し、多くの場合、静かでスムーズな動作を提供します。

ラッチ材料

亜鉛5合金対亜鉛3合金

亜鉛合金はダイカスト鋳造に広く使用されています。ダイカスト鋳造は、金型のキャビティに高圧で溶融金属を押し込むことを特徴とする金属鋳造プロセスです。ここでは、亜鉛5合金（別名ZA-5）と亜鉛3合金（ZA-3）を比較します：

亜鉛3合金

• 構成： 亜鉛3合金は通常、約4%のアルミニウムと約3%の銅を含む。
• プロパティ この合金は優れた流動性で知られ、薄肉、複雑な細部、滑らかな表面を持つ鋳造部品に適している。機械的強度は良好ですが、ZA-5より若干劣ります。
• アプリケーション 優れた鋳造性と優れた強度により、ZA-3は、精密な細部を必要とする化粧品、金物、自動車部品などの複雑な形状によく使用される。

亜鉛5合金

• 構成： 亜鉛5合金は通常、約4%のアルミニウムと約1%の銅から成り、耐クリープ性を高めるために少量のマグネシウムを加えることもある。
• プロパティ ZA-5は亜鉛合金の中で最も高い引張強度を持ち、耐久性に優れています。また、耐摩耗性や耐衝撃性にも優れています。流動性はZA-3より若干劣りますが、優れた鋳造特性を発揮します。
• アプリケーション この合金は、高い応力レベルが予想される機械部品、歯車、自動車部品など、強度が優先される構造用途に適している。

当社製品の高水準の品質と耐久性を保証するため、ヒンゲロックは一貫して亜鉛-5合金を製造に使用しています。弊社がZinc-5を選択する理由は、その優れた機械的強度と耐摩耗性だけでなく、この素材が細部への忠実性と全体的な構造安定性を高め、お客様のラッチが様々な条件下で最適な性能を維持できるようにするためです。弊社のヒンジロックス製品をお選びいただければ、業界をリードする品質が保証されます。

金属製ラッチとプラスチック製ラッチの比較

金属製ラッチはより強く耐久性があるため、セキュリティに敏感でストレスの多い用途に最適です。高温には耐えますが、適切な処理を行わないと腐食する可能性があります。一方、プラスチックラッチはコスト効率が高く軽量で、耐腐食性を備えているため、それほど厳しくない環境に適しています。しかし、耐久性に劣り、高温下で変形する可能性があります。金属ラッチとプラスチックラッチのどちらを選ぶかは、強度、環境、コスト、重量などの要素を考慮し、用途の特定のニーズによって決まります。

保護等級

キャビネットやエンクロージャが屋外に設置される場合、ラッチを含め、使用する部品はNEMAまたはIP定格のものでなければなりません。NEMA（National Electrical Manufacturers Association：全米電気機器製造者協会）およびIP（Ingress Protection：侵入保護）定格は、水やほこりなどの物質に対する保護レベルを定義しています。米国ではNEMA規格が使用されていますが、ヨーロッパではIP規格が使用されています。しかし、どちらの規格も両地域の製品に採用されているため、両方の規格に精通しておくことは有益です。IP定格とNEMA定格の比較に関する詳細は、こちらをご覧ください。

NEMA定格

米国電気機器工業会（National Electrical Manufacturers Association）によって開発されたNEMA定格は、ほこり、水、腐食性物質などの環境危険に対するエンクロージャの保護レベルを定義するために米国で使用されています。

主なNEMA定格

• NEMA 1:一般的な屋内用で、ほこりや光に対する基本的な保護を提供する。
• NEMA 3R:屋外で使用し、雨、みぞれ、雪を防ぐ。
• NEMA 4X:屋外用で、腐食、風によるほこり、水の浸入に対する保護が強化されている。

NEMA規格のラッチは、環境保護が重要な屋外エンクロージャ、電気キャビネット、産業用アプリケーションに不可欠です。

メリット

• ラッチが特定の環境条件に耐えられることを保証する。
• エンクロージャーの安全性と長寿命に安心を提供します。
• 業界標準および規制の遵守を促進する。

IPレーティング

IP定格（Ingress Protection Rating）は、ヨーロッパをはじめとする世界各地で使用されているもので、埃や水に対するエンクロージャの保護等級を示すものです。1つ目は固形物に対する保護、2つ目は液体に対する保護を示します。

主なIP格付け

• IP20:12.5mm以上の固形物に対する保護、液体に対する保護はなし。
• IP65:防塵構造で、あらゆる方向からの噴流水に対して保護されている。
• IP67:防塵および一時的な水没に対する保護。

アプリケーション

IP規格のラッチは、ほこりや水に対する保護が不可欠な、海洋、自動車、工業などの屋外や過酷な環境で使用されます。

表面仕上げ

CP01 ブライトクロムメッキ

ブライトクロムメッキは、ラッチの外観と耐食性を高める光沢のある反射仕上げを提供します。このプロセスでは、ラッチ表面に薄いクロム層を電気めっきします。

CP02 グレーコールメッキ

グレイクロムメッキは、優れた耐食性を持ちながら、より落ち着いた艶消し仕上げを提供します。この仕上げは、同様の電気メッキ工程を経て、望ましい艶消し外観になるように調整することで実現します。

CS01黒粉体塗装

黒色粉体塗装は、耐久性のある保護仕上げで、洗練されたモダンな外観を提供します。乾燥したパウダーをラッチ表面に塗布し、熱で硬化させて硬い保護層を形成します。

CS02 マット・ブラック

マットブラック仕上げは、無反射で繊細な外観を提供し、薄型の外観を必要とする用途に最適です。この仕上げは、粉体塗装やその他の表面処理によって実現されます。

CP03 ポックドクロムメッキ

ポックドクロムメッキは、ブライトクロムの反射特性とテクスチャーを組み合わせたユニークな外観のメッキです。ポツポツとしたテクスチャーは、視覚的な面白さを加え、用途によってはグリップ力を高めることもできる。

CS03マット・ブラック

CS02と同様に、マットブラック仕上げは様々なテクスチャーが用意されており、デザイナーに希望の美観を実現する柔軟性を提供します。この仕上げは、外観が重要視される高級用途でよく使用されます。

他の色は自由に選択できる

ラッチは、特定の設計要件や美的嗜好に合わせて幅広い色で仕上げることができます。カスタムカラー仕上げは、粉体塗装、塗装、その他の表面処理方法によって実現されます。

知っておくべきラッチの認証

認証は、ラッチが安全性、性能、品質に関する業界基準を満たしていることを保証します。認証されたラッチは、厳格な試験と評価を受け、特定の基準に適合していることが確認されています。

• UL（アンダーライターズ・ラボラトリーズ）:ラッチが電気および火災安全基準を満たしていることを保証します。UL認証は北米で広く認知され、信頼されています。
• ISO（国際標準化機構）:品質マネジメントシステムのガイドライン。ISO認証は、品質と継続的改善へのコミットメントを証明する。
• CE (欧州適合性):欧州の安全、衛生、環境保護規格に適合していることを示す。CEマーキングは、EU域内の市場参入に不可欠です。
• BHMA（ビルダーズ金物工業会）:ラッチを含む建築金物の性能と耐久性の基準を設定。BHMAの認証は北米で認められている。

用途に合ったラッチを選ぶには？

プロジェクトに理想的なラッチを選ぶことは、いくつかの重要な検討事項によって形成される極めて重要な決定です。機能性と美観の両方を確実に一致させるには、以下の合理的なステップに従ってください：

• プロジェクトのニーズ（例：セキュリティ、使いやすさ、耐振動性など）を決定する。この最初の理解が、今後の決断の指針となります。
• 多様なラッチタイプをご覧ください（上記参照）。プロジェクトのニーズと使用目的に最も適したタイプをお選びください。
• 材質を選ぶ際は、ラッチの使用環境を念頭に置いてください。ラッチは、その周囲の条件下で効果的に機能することが望まれます。
• 必要なセキュリティレベルを明確にする。クイックアクセスか、キーロックか、電子制御か。ラッチ自体の強度で定義するのか、特定の時間に誰がアクセスできるかを追跡するのか。ラッチがそのレベルを満たせることを確認してください。
• 使いやすさを考慮すること。ラッチが幅広いユーザーに使用される場合は、直感的な設計を優先し、長期的に安定した性能を発揮するためにサイクル寿命が長いものを選ぶ。

これらの要素に注意深く対処することで、プロジェクトの目標と仕様にシームレスに適合するラッチを自信を持って選択することができます。

結論

エンジニアにとって、さまざまなタイプのラッチ、その保護等級、表面仕上げ、必要な認証を理解することは極めて重要です。この知識により、各用途に適したラッチの選択が保証され、安全性、機能性、美観が向上します。屋内または屋外での使用、メカニカルラッチまたは磁気ラッチ、特定の環境条件など、どのような設計であっても、適切なラッチを選択することで、設計の性能と信頼性が大きく変わります。ご質問やサポートが必要な場合は、お気軽にお問い合わせください！